好きなマンガ、映画と音楽と

 治験参加中はゆる〜い軟禁生活ですが、食費も光熱費も浮くので働きたがらない小谷にはありがたーい環境でした。よく「薬の人体実験でしょ?」と素直な疑問をぶつけてくる人がいるのですが、世に出回っている全ての薬はマウスの実験を経た後、人間(主に男性)にも投与して副作用の内容や発症の割合を確認しています。全ての薬には副作用があるし、人体実験を経ていない薬というのもないのです。普段から副作用や薬の弊害に何の疑いも持っていないのに、いざ「治験に参加してるんです」と言うと「それ大丈夫?」などと聞いてくる人に限って、疑うところを取り違えているなあなどと思うのです。そういう人たちにこそ、抗がん剤マンモグラフィー、ワクチンなどの直接的な害について調べて見て欲しいものです。

 

 さて、治験参加中は小説を書き進めていました。とりあえず、今日は刑務所の独房の様子を描写してみました。さらに、治験の入院先のクリニックには小谷の大好物のマンガがたくさんあるので、久々に坂本先生の『孤高の人』(新田次郎原作でこちらもむかし読んだ)を途中まで読み返した。魂が揺さぶられて目頭がなんども熱くなりました。お山が好きじゃない人でもこの作品は楽しんでもらえると思う小谷推薦の一品です。

 退院した今日はその足で心友に会い、一緒に映画を観に行きました。『シンゴジラ』に続く、出所後2本目の劇場映画はクリント・イーストウッド監督作の『ハドソン川の奇跡』でした。イーストウッドさんの作品に外れなしです。これもよかった。僕は個人的には『ミリオンダラー・ベイビー』が大好きですが、こういう実話系も熱い。

トムハンクスが最後

「 We did our job」

と言っていたのが何とも印象的でかっこよかったです。Professionalとはこういう人のことを言うんだなと思いました。

 

吉祥寺に戻って来て、そういう熱があるからか楽器屋で楽譜を三冊大人?買い。いつかギタリストとして仕事をもらえるようになった時、演奏後にいつも

「I did my job」

と自信を持っていられるようなプレイヤーでありたい。これからも努力し続けたいな。おやすみなさい。 

のんびり屋さんの挑戦

 参加中の治験、今日から2クール目の2泊3日。

「全国のプロレタリアートよ」

マルクスエンゲルスさんは呼びかけて、それが世界中を席巻したコミュニズムという怪物になっていった訳ですが、そんな彼らの情熱とは全く無関係に、働くのは疲れるし汗水垂らして働く工場での労働はつまらなかったなあと僕は個人的なことを思い出すのでした。今も介護の仕事は週3〜4日で、執筆中の小説が10万部売れて芥川賞を取って、そんでそんで……。なーんて。

デイドリーマー、そんで、彼女はクィーン。って感じです。

 人間は、潜在能力とかはあるのかも知れんけど、とりあえず自分の持つ能力以上のことはできない。やろうとしても失敗するもんだろう。ってことは自分のペースで生きるのが結局ベストなんじゃなかろうか、といういつもの結論に。

 

 でも、早く以前みたいにライヴしたいな。本も(自費)出版したい。セックスもしたい。また旅もしたい。

 

 懐かしくなったので、かつてハマっていた将棋を久しぶりにアプリで楽しむ。3連勝!うは。将棋の師匠は「あの人」ですが、その工場変わってから僕にできた初弟子は、羽生善治の言葉を気に入っていてよく口にしていた。

 

「少しずつ前へ進む      

                                       羽生善治

 

 本も何冊か読ませてもらったし、僕も尊敬している羽生さんは今年の五月だかに佐藤天彦という新進気鋭の若手に、名人戦で緒戦一勝したものの、その後4連敗で保持していた名人位を奪われた。将棋歴2年足らずの小谷が負けたってものすごく悔しいのに、羽生さんのその心中たるや如何ほどだったのか。「3月のライオン」の監修をしている先崎学が「今まで勝ち続けてきたことがすごいんだ」と自身のコラムで羽生善治の経歴を讃えていた。

 

 人間誰しも勝ち続けるのは難しい。しかし、それでも戦い続ける人の背中に小谷は今日も滾る血潮を感じ、自分もそんな風に挑戦し続ける人生を生きようと思うのでした。